鍋春菊のメルティング・ポット

アニメだろうが実写だろうがそれがなんであろうが面白けりゃいい!そんなハンパモンのブログ

記録

 現在、執筆活動に追われている。コミックマーケット91(2016年12月29日~31日開催)にて頒布する同人誌に紀行文を寄稿(説明省略)することになった。結局友人の誘いに応じたのである。(前記事『陰湿』を参照)

 僕が参加させていただくサークル『ヒトマル式観光』では主にアニメの舞台となった実在する場所を巡る、いわゆる“聖地巡礼”を扱った同人誌を作っている。実際にその場所に赴いてアニメのカット(場面)に合わせて写真を撮り、それらを一冊の本にまとめる。過去に頒布した本は既に読んでいたし、友人から制作背景については聞いていたので大まかな流れは理解していたつもりだった。

 ところがやってみると実に大変な作業だというのが分かる。11月に入ってからすぐに本のための写真撮影をしに2日ほど沼津に行ってきたのだが、天候の問題、交通経路、果ては自身の悪運と本当に苦労した。本当に辛かった。

 紀行文と言っても出てくるのは難行苦行ばかりで、これでは紀行文ではなく単なる制作裏話になるのではという懸念もあるが、そこは僕の腕の見せ所である。

 

 さて、起稿したはいいが出だしをどうするかで迷った。(いつものこととか言わないでください)書きたいことは山ほどあるけど、今回は同人誌。確実に人の目に触れることになるので読者のことを考えなければならない。読んだ人が不快になるようなことは思っていても書いてはいけない。(『愛憎』『陰湿』参照)便所の落書きのようなこのブログとはワケが違うのだ。

 そこで僕は高校の頃文芸部で創っていた部誌に友人が載せていた紀行文の存在を思い出した。たしか彼は千葉に行ったときのことを書いていたはずだが、どう描写していただろうか、彼ならばあの沼津をなんと書き綴るだろうか、参考にしようと思って部誌を探してみた。

 残念ながら僕の求めていたものは手元になかった。きっと実家に眠っていることだろう。アレには高校生の頃の僕が書いた小説が載っている。ともすれば黒歴史にもなりかねないものをこっちに持ってきているはずがないではないか。よくよく考えれば当たり前のことだった。

 しかし彼の紀行文が載っている号は無かったものの、別のものを発見。僕らが卒業した後の部員が作った『第四号』だった。これは今年の夏に文芸部の顧問をしてくださった先生からいただいたものだ。

 一度読んではいたが、興味が湧いて久しぶりに読み返すことにした。自分が関わっていないというだけで、表紙をめくるのは容易かった。

 まずは目次を眺めてみる。今はどうしているかも分からない後輩たちの名前と、そもそも知らない名前が並んでいる。そこに当然、自分の名前はない。懐かしくもあり、寂しくもあった。

 それから彼らが書いた作品を読んだ。僕が言うのもなんだけど、まだまだ荒削り感は否めない。だがそこには書くのが楽しくて仕方がないという“純粋さ”があった。文体からにじみ出る活きの良さに、読んでいて元気をもらえた。

 僕もこの頃は活気に満ちていた気がする。自分専用のパソコンを当時は持っていなかったので、家族共用のパソコンでみんなが寝静まった後も夜通しひたすらキーを叩き続けていたのを思い出す。次から次へと文章が涌いてくる快感を確かに味わっていた。

 今ではそんなことは滅多にない。一時間に何回も詰まってしまって、結果出来上がりが遅れるか、諦めてそのまま放置が当たり前になっている。あの頃の情熱と活きの良さが戻ってきて欲しいものである。

 しかし今回はうだうだ言っていられるヒマはない。久しぶりに締め切りに追われることになって改めて自分の遅筆っぷりを憎む。明日も半徹夜確定だ。

 でも楽しい。自分の書いたものが一冊の本に載るのだから、気合も入る。これは僕にとって久しぶりの“部誌づくり”なのだ。

 

 というわけで、沼津紀行文『さんざんに始まったさんさんな旅』は冬コミにてヒトマル式観光さまより頒布される『ラブライブ!サンシャイン!!聖地巡礼(仮題)』に収録予定です。

 

 

……あと一週間で出来ますかね。