【感想】ドラマCD 中古でも恋がしたい!~ぜってーお前の理想になってやる!~
【あらすじ】
男子高校生の新宮清一の趣味はエロゲー。理想は二次元で、好みは処女という典型的なオタクとも言える彼に、ある日校内一の不良と名高い綾目古都子から唐突に告白される。制服は着崩し、髪は金に染めていた彼女だが、清一の好みに合わせるため黒髪ツインテの少女に大変貌を遂げる。二次元にしか興味はないとにべもなく拒絶する清一だが、古都子は「お前の理想になってやる」と息巻きアプローチを続行、彼女は次々と清一を理解するために彼の趣味であるエロゲーまでも始めてしまう。その真摯な姿勢に戸惑いつつも、彼は"同志”として彼女を認め行動を共にするようになる。
2014年の3月に一本投稿してから放置していたこのブログを久々に更新。読んだ本や、見た映画、ドラマ、アニメ等の詳しいレビューが中心となるブログにしたい。
その記念すべきレビュー一発目がこれでいいのかと思うと、もはやヤケクソである。
というわけで、今回は「ドラマCD 中古でも恋がしたい!~ぜってーお前の理想になってやる!~」の感想を淡々と綴っていきたいと思う。
購入に至った経緯については省きたい(少なくともジャケ買いとかそういった運命的な出会いではない)
まずタイトルを見て驚くことだろう。
どう見ても「中◯病でも恋がしたい!」のもじりに思えるのだ。
これはあれだ、編集の意向でタイトルが変えられたやつだ、そうなんだろう!と思い調べてみると元々これは「小説家になろう」で掲載されていたもので、その掲載当時(2012年11月15日~)からこのタイトルであったらしい。(小説家になろう データまとめ - 中古でも恋がしたい!参照)
ちなみに「中二病」はTVアニメ一期放送が2012年10月、KAエスマ文庫より発刊されている原作小説はさらに遡ること2011年の6月から掲載されている。
パクリだのなんだのと喚き散らすつもりはない。ただこれから◯◯でも恋がしたい!が◯◯の【四文字熟語】+【なんか格好いいルビ】のようなテンプレタイトルになっていくのだろうか。(個人的には声優でも恋がしたい!が読みたい)
さて、多少脱線したが本ドラマCDのレビューに戻ろう。
オタクと不良の学園ラブコメ、序章。
さて今作はGA文庫のライトノベルである「中古でも恋がしたい!」(田尾典丈著)を原作とするサウンドドラマである。
全四章(4トラック)に分かれており、主人公の新宮清一(田丸篤志)とヒロインの綾目古都子(内山夕実)を中心に、クラスメイトで親友の外崎啓太(逢坂良太)や声優として芸能活動をしている初芝優佳(西明日香)、清一の従兄弟である小谷桐子(田村睦心)、妹の新宮聖美(洲崎綾)との関わりを通して二人が絆を深めていくというのが主なシナリオ。土台となっているのは原作一巻の前半部分だが、キャラの出番の前後を変えたり、キーパーソンとも言うべき人物が出てこないなどのドラマCD向けにデチューンが施されている。
学校生活に溶け込みながら裏では二次元に傾倒する日々を送る主人公や、中古という渾名からは想像できないほど純情な一面を見せるヒロインであったり、皆のアイドル的な癒し系の女の子だったり主人公の良き理解者である親友であったり……他にも挙げるだけキリがないほどとにかくいかにもラノベって感じの作品である。
ここ半年ほどラノベを敬遠していたため耐性をつけてないまま本作を視聴したが、やはり鼻につく部分は否めない。とはいえ、構成そのものはしっかりと緩急のある飽きさせないものとなっており、約1時間半という尺の中で丁寧にメインキャラクターたちの性格を表している。ドラマCDの脚本が原作者自ら書き下ろしということで、彼らの魅力を損なうことなく上手く落とし込めている。
しかしシナリオ面においては、キャラクターのお顔合わせ的なやり取りが続き、二人の仲はそれほど進展しない。このドラマCDはキャラクター達の紹介に主眼が置かれており、これからの波乱を予感させるエンディングとなっている。原作の宣伝という意味でも、あの切り方は評価に値する。
私も本作を聴いたあと、初芝優佳にどうしても腑に落ちず、後に原作一巻を読んでみて納得した。かなり謎めいた立ち振舞を見せる彼女だが、その行動の動機、さらには古都子のイメージと実際の性格の不一致などあらゆる疑問が湧いてくるが本作で明かされることはない。詳しいことは原作を読んでね、ということなのだ。
声優陣の演技について
キャスティングは個人的に文句はない。全体を通して真相を知ると、内山夕実さんの古都子が非常に完成度が高いことが分かる。不良なんだからもっとドスの効いた演技かと思っていたら、あら意外とそこまでキツくない……という加減が程よい。古都子の一途な性格も相まってなんだかすごくいいヤツに思えてくる。
田丸篤志さん演じる新宮清一は言動や思想・信条こそ気持ち悪いオタクのそれだが、時たま見せる優しさや面倒見の良さなど、人間としてまともなところもちゃんと描かれている。でもイタイ。
ぶりっ子男子達のアイドルである初芝優佳を演じた西明日香さんについてだが、よくぞここまで悪女っぽい雰囲気を出せるなと感心。“あの”シーンは中々の緊迫感があった。演技上手だね(棒読み)流石声優、それが声優。
洲崎綾さん演じるタマキン系妹キャラは本当にウザ可愛い、というか膝をかましたくなってくる。「近寄るな!童貞が感染る!」はそんな言い草はないじゃねえかと、聴き手(主に男性)の心をへし折ってくれることだろう。
他のキルミー田村や、逢坂良太さんにしてもよく役にハマっていると思う。あのイタイタしいやり取りを聴いていると、何故か懐かしく感じた。
【まとめ】
本作は原作を読まずとも十分に楽しめる作品ではあるが、お話を楽しみたい人には物足りないかもしれない。古都子や初芝等登場人物の抱える弱さやトラウマが深く描写されていたり、山場がちゃんとあるしっかりとした構成になっている。
これだけで終わらせるのはもったないと言っておこう。
次回は、その原作一巻をレビューしたいと思う。